文部科学省 ITプログラム / 国立情報学研究所(NII)
サイエンス・グリッド「NAREGI」ミドルウェア統合パッケージ開発
SITUATION (現場の状況と制約)
次世代の超高速学術ネットワーク上でナノテクノロジーやバイオなどの先端科学シミュレーションを支える大容量計算基盤として、国家主導で開発が進められていた次世代グリッドミドルウェア「NAREGI」。
しかし、全体で約500万ステップに及ぶ膨大なソースコードと、多数のグリッドサービスが複雑に絡み合うシステム構造は、従来の機能偏重な決定論的ソフトウェア開発の限界を露呈させていました。1サイトの環境を構築するだけで、解析ログは92万行を超え、コマンド実行数は4,529回、設定ファイルのテキスト編集は119回に達し、手動での導入作業には5ヶ月もの期間を要していました。複数ノードがすべて間違いなく動作しなければ全体が破綻する O(N!) のコスト爆発に対し、システムテストや実環境への配備自体が不可能になるという、致命的な構築の破綻に直面していました。
RESOLUTION (AcsiomA代表によるアプローチ)
現在のAcsiomA代表である小林は、この破綻を解決するため、複雑な広域分散システムの環境を『国(サイト間の広域連携環境)』『街(ノード内の整合性環境)』『家(コンポーネント単体)』の3つの階層に完全に切り離して制御する、全く新しい階層化概念を提唱・導入しました。
ノード内の整合性はLinuxディストリビューション開発の知見を活かした独自パッケージ(apt-rpm)システムで自動解決させ(街レベル)、全NAREGIの構成情報を一元管理する唯一の設定ファイル(node.conf)と連携した自動構築インストーラを九州大学青柳研究室にて独自に研究開発(国レベル)。
この結果、119回に及んだ手動設定を「0回」に抑え込み、5ヶ月を要したシステム構築期間をわずか「数時間(1日)」へと劇的に短縮する自動化に成功。東工大における123ノードに及ぶ大規模展開をわずか7時間で完了させるなど、東北大、北大、名古屋大、国立情報学研究所、高エネルギー加速器研究機構(KEK)といった全国の基盤センターへの配備を現実のものとし、国際学会(HPCAsia2007等)でも高く評価されました。この「巨大な複雑度を、独立した階層に分離して O(N) に抑え込む」という構造化設計こそが、現在のオートポイエティックエンジン「SRX」に流れる礎となっています。
Fig 1. 当時の設計資料より。「国(ノード間環境)」「街(ノード内環境)」「家(サービス単体)」の3階層に分離し、それぞれのレイヤーで独立して整合性を担保させることで、分散システムの複雑度爆発を回避するアーキテクチャ。
[ SYSTEM SIGNATURE ] CODE SCALE: 5,000,000 Steps | CONSTRUCT TIME: 5 Months → 1 Day | ARCH: 3-Layer Inter-Node Separation | ERA: 2006-2008